ラズベリーパイ購入時の注意と設定方法
初めてラズベリーパイを購入してみました。Raspberry Pi 3 MODEL Bを購入してみました。小型だという話を以前より聞かされていたので、到着してみた感想は「意外と大きい」でしたが、その分安定感があって安心もしました。数世代前の機種になるみたいなのですがコストパフォーマンス的に考えて入門には最適なんじゃないかなとか思っています。
本体はいろいろなところで買えるようですが、RSコンポーネンツだと周辺パーツもいろいろ揃っていて単品単位で購入できるようです。
日本企業だと古くから電子パーツを扱っているマルツ電波でも取り扱っています。こちらは実際の店舗もあったりするので近くにあればのぞいてみるのもいかがでしょう。公式の流通ではない場合技適マークがついていないことがあります。これがついていないと無線インターフェースを利用することが違法になりますので注意してください。
必要なもの
通常は本体以外のもの(ディスク、ケース、電源ケーブル、映像ケーブル等)は付属していません。別途用意する必要があります。本体型番により端子の形状や有無なども変わります。今回はRaspberry Pi 3 Bで話をしています。
- パソコン
OSをダウンロードしたり、設定したりというのを別のパソコンで行う必要があります。
- ケース
PCを自作したことがある人は驚かないと思いますが、本体基盤を収めるケースも別売りです。稼働中に端子に触れるとショートして故障の原因にもなりますので、可能なら購入しましょう。本体の型番によって対応するケースも変わります。
- 電源ケーブル
電源は5V-2.5A、マイクロUSB-TypeBでの給電が必要です。USB-TypeBの端子はアンドロイド系のスマホの給電(充電)装置としてよく使われているものですが、これらはたいてい1Aか2Aの出力となっていて2.5Aには足りません。
専用の電源アダプタはamazonなどで売られていました。高負荷にならなけらば2Aでも問題ないという記述もネットで見受けられました。筆者も2Aのものを使っています。環境がCUIということもあり、落ち着いているようです。
使っているものや販売されているものが何Aなのかはよく見ると書いてあります。線自体も安いものだと安定しない可能性があるそうです。
- 映像ケーブル
映像はHDMI経由で出力できます。よくビデオレコーダーやDVDレコーダ等で使っているものです。出力先はテレビでも可能です。
- キーボード・マウス
USB端子が4つあるので通常のUSBキーボードやマウスが接続できます。USB端子をたくさん使うようなら2.5A必要かもしれません。
- MicroSDカード(ディスク)
MicroSDカードは容量がGUI環境で8G以上、CUI環境で4G以上です。また64Gを超えるとフォーマットに少し工夫が必要です。GUIマシンとして考えているなら16Gぐらいあった方がいいと思います。スピードクラスは公式販売のものが6だと出ていました。最近販売されているものはほぼ10だと思いますが、古いものを使うようなら6が基準になるでしょう。
SDカードの能力差
SDカードは規格がいろいろありわかりづらいので、少し寄り道をして説明します。
SDカードには容量別の規格とスピード別の規格が存在します。
容量別の規格は下位互換があり、性能の高いもの(容量の大きいもの)は低いものにも対応しています。ただし、装置によっては高性能の規格品は最大容量等の要因により使用できない場合もあります。
規格は性能の高い順に
- SDXCカード:32GB~2TB(eXtendeCapacity)
- SDHCカード:4GB~32GB(HighCapacity)
- SDカード:~2GB
となります。
スピード別の規格は4種の規格に分かれています。それらはスピードクラス、UHSスピードクラス(Ⅰ・Ⅱ)、ビデオスピードクラスです。
これらは、それぞれ互換性がありません。例えばカードにスピードクラスのマークのみが印されていた場合は、UHSやビデオスピードクラスを要求する機器での使用は保証されていません。
スピードクラスはCの文字の中に数字が入っているマーク、UHSはUの文字の中に数字が入っているマーク、ビデオはVの横に数字があるマークです。
これらのスピードクラスは書き込みの速度です。読み出しの速度は規格というものが存在せず、速度自体をMB/秒の単位で表しているようです。
他には数値としてはあらわされませんが、防水性、耐温性、耐衝撃性、耐磁性等にも違いがでてきます。
OSインストール
OSも付属されておらず、無料で配布されていますがインターネットよりダウンロードしないといけません。こちらのラズベリーパイ公式サイトで配布しています。
OSを指定して、イメージをダウンロードする方法とNOOBSというインストーラーをダウンロードする方法があります。直接OSをダウンロードするとイメージファイルの取り扱いが面倒なのでNOOBSの方をお勧めします。
筆者が作業した際は、通常のダウンロードだとダウンロード時間が2日とか出ましたので(運が悪かった?)、torrent環境があればそちらからの方がいいと思われます。
NOOBSファイルはzipファイルに圧縮されているので展開します。展開したデータをそのままSDカードにコピーします。1つのフォルダの中に展開されていたら中身だけコピーしてください。コントロールキー+Aでフォルダ内のすべてのファイルを選択できます。
容量オーバー?
多分ラズベリーパイも進化しているのでしょう。8Gのディスクでは容量が足りずおすすめのアプリを含んだOSをインストールすることができませんでした。なので通常のイメージダウンロードに変更します。
筆者の環境ではGUIは使わないので、CUI版(Raspbian Buster Lite)をダウンロードしました。LiteのつかないGUI版もありますが、ディスクへ書き込むところまでは共通です。
ダウンロードしたファイルは展開すると1つのイメージファイル(.img)となっています。(もし展開に失敗するようなら7-Zipを使うようにと公式ページに案内が出ていました。)これをSDカードに書き込みます。
イメージファイルの場合はライティングソフトを使って書き込む必要があります。筆者が使用したのはこちらのライティングソフトです。ただし、公式ページではこちらを使うように案内がでていました。
どちらを使うにしても書き込む場所を間違えると使用中のPCが二度と起動しなくなる事もあります。注意して使ってください。
書き込みが終了すると、WindowsがSDカードを認識できなくなります。これはディスクの中身がラズベリーパイ仕様になった事を意味しますので問題ありません。「フォーマットされていません、フォーマットしますか?」と聞かれてもキャンセルして、ディスクを停止状態にして取り外してください。
起動
ここからラズベリーパイの操作になります。書き込みが終了したMicroSDカードをラズベリーパイにセットして、電源アダプタを差し込んでください。
GUI環境やNOOBS環境だと、電力供給が足りないと右上にカミナリのマークが表示されたり、映像出力がとぎれとぎれになったりします。先にも書きましたが、ラズベリーパイ3系を動かすには2.5Aの電源が推奨されています。
最初はつまづきましたが、なんとかインストールして起動させることができました。
ちなみにGUI版の場合は起動させるとこんな感じになります。
設定
実用化に向けて設定していきます。Debian系統のOSなので、DebianやUbuntuを使ったことがあればなじみやすいと思います。とはいえ自分もラズベリーパイは初心者なので、こちらを参考にさせていただきました。
まずは基本。IPアドレスを振ってアップデートします。CUIで初回起動した際のデフォルト設定は、ユーザ:pi、パスワード:raspberryです。
ネットワークの設定ですがDebianでは/etc/network/interfacesに記述しましたが、そこを開くとdhcpcd.confに記述してくれというコメントがありました。ラズベリーパイではネットワーク設定は/etc/dhcpcd.confに記述するようです。
管理者権限が必要な場合はsudoを先頭につけて実行してください。
static ip_address=192.168.1.10 static routers=192.168.1.254 static domain_name_servers=192.168.1.254 8.8.8.8
ipの設定が終わったら、一度再起動しましよう。
今度はアップデートです。
$ sudo apt update ... $ sudo apt upgrade ... $ sudo apt dist-upgrade
筆者がDebianを使うときはWindowsからTeraTermで操作していました。ラズベリーパイでもそれが可能ですが、デフォルトではsshが無効です。/boot配下にsshという名前のファイルを作れば接続可能になります。
sudo raspi-configより、ラズベリーパイの設定変更ができます。Debianではインストール時に設定する項目をここで設定します。
- Localisation Options→Locale → ja_JP.UTF-8 に
- Localisation Options→Timezone → Asia Tokyo に
- Localisation Options→WLAN(Wi-Fi) Country → JP に
- (Localisation Options→Keybord → 日本語キーボードに)
「キーボードのモデル」は何でもいいと思われます。筆者は「サンワサプライSKB-KG3」にしています。次のキーボードのレイアウトで「日本語(OADG 109A)」を選択、移行の選択先頭「キーボード配置のデフォルト」「コンポーズキーなし」のものを選択します。実機でのキーボード操作でチルダ(~)や、パイプ(|)が出れば問題ないと思います。不具合がでたら再調整してください。
この設定メニューもバージョンにより表記など変わるようです。
設定の反映には再起動が必要です。再起動後、Tera Term等では日本語が表示されますが実機操作時だけは□□と日本語部分が文字化けすると思います。これは英語表記に戻すことで回避します。戻し方は次のコマンドを使います
$ LANG=C
先の参考サイトにはSSHホスト鍵の更新が必要だと書いてあり、参考になりました。これは初見でした。
$ sudo rm -v /etc/ssh/ssh_host* $ sudo dpkg-reconfigure openssh-server
デフォルトユーザの使用はセキュリティ的に問題です。なのでユーザー名とパスワードを変えます。
$ sudo useradd -M willdel $ sudo gpasswd -a willdel sudo $ sudo passwd willdel
仮のユーザー:willdelを作成し、管理者グループに入れ、そのユーザでログインしなおします。
$ sudo usermod -l nanbu pi $ sudo usermod -d /home/nanbu -m nanbu $ sudo groupmod -n nanbu pi
piからnanbuにユーザを変更し、ホームディレクトリを変更し、グループを変更しています。
変更したユーザ名でログインし(このときパスワードはraspberryのままです)、仮のユーザを削除します。
自分のパスワードを変更します。sudo実行時のパスワードは変更前のパスワードを入力します。
目的に合わせてカスタマイズ
あとは目的に合わせてカスタマイズしていきましょう。apache2やMariaDB、PHP、BIND9、sambaなどをaptからインストールすることができるのを確認しました。この先はDebianを使う際とほぼ同じように操作ができると思います。