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なんぶ電子

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フリーアプリで電子印を作成

ここでいう電子印とはパソコン上で印影の画像を作成することを意味します。

このサイトの別記事で、PDFを直接編集できるフリーアプリLibre OfficePDFを以前に紹介しました。

そのようにPDFを編集する際に使える電子印鑑があると、プリントアウトして押印する必要がなくもっと便利になります。

そこで印鑑までパソコンで作ってしまうというのが今回の話です。ペイントソフトで図形の丸と名前を合成したり、印影を作成するサイトがあったりと方法はいろいろあると思いますが、ここでは実際に自分がもつ印鑑の印影を電子化したいと思います。印影のかすれが再現できます。

ただし、電子印の印影はおそらく本物と完全には一致しないと思います。また認印以上の用途では考えておりませんのであらかじめご承知おきください。

環境として、Windows10のPCをもっていることを前提に話を進めますが、他のOSでも作成可能だと思います。例によって無料アプリのみで実現します。

印影をスマホで撮る

まず元となる印鑑の印影を取ります。スキャナがあればベストですがなければスマホの写真機能で代替します。ここではスマホで撮るケースで話を進めます。

押印する場所に四角形を記入してください。そのあと記入した四角形の中に印を押します。朱肉の色は何色でも構いませんが、四角形を除いて、下地と印影の2色だけになるようにしてください。柄の入った紙や、透かしの入った紙などは避けてください。「氏名」や「印」の文字の上に重なったものもうまくいきません。

写真を撮る角度が用紙に対して斜めになってもいいので、影が入らないように撮影してください。完璧は求めませんがピントがボケないようにも注意してください。

印影の写真をPCに取り込む

スマホからPCへ写真を転送してください。Google DriveやPhoto、USB経由、メール添付何でもいいです。ちなみに別記事でスマホ画像をローカルPCに転送する自作アプリも紹介しています。

写真の転送できたら、まずゆがみを修正します。ゆがみがない場合はこの項は読み飛ばしてもらっても構いません。

写真の修正はGIMPというフリーアプリを使います。もしインストールしていないようなら、ダウンロードしてインストールしてください。古いPCですと動かすのが少しつらいかもしれません。

GIMPでの加工の前に邪魔な箇所をカットしておくと後で楽です。その際は先に引いた四角形が残るぎりぎりのラインでカットしてください。これはMSペイントで処理するのが楽だと思います。Windows10ではスタートメニュー→Windowsアクセサリ→ペイントでプログラムが起動します。

GIMPでゆがみ修正

GIMPを立ち上げ、ドラック&ドロップで対象の画像をGIMPのウインドウに持っていくと画像が開きます。

ゆがみを修正するにはGIMPの「遠近法ツール」を使います。「ツール」→「変形ツール」→「遠近法」を選択します。

このままでは修正しづらいので、グリッド(升目)を出します。「表示」→「グリッドの表示」

グリッドが細かすぎる場合は、「画像」→「グリッドの設定」から行います。

遠近法ツールでは、マウスをドラック&ドロップの要領で動かすと元の画像が歪みますので、画像内の四角形とグリッドの升目の線が一致するように修正してください。終了したら「変形」ボタンを押します。

作成した画像を出力します。「ファイル」→「エクスポート(Export AS)」を選択してください。保存時方法は、ファイルの形式を選択の+の箇所をクリックして保存形式を選んでください。不明な場合は「PNG画像」というものを選択してください。そして適当な名前を付けたうえで、「エクスポート」を押してください。次にでてくる画面はそのままの状態でOKを押してください。

これでGIMPでの作業は終わりです。GIMP終了時にGIMP画像データを保存するか確認されます。正確にエクスポートできてしまえば再度GIMPをつかうことはありませんが、念のため保存しておきましょう。

印影の切り抜き(パス化)

つぎの作業に移る前にMSペイントでゆがみ訂正のために引いた四角形を除去します。

印鑑の朱の部分だけを抜き取る作業をします。この作業にはInkscapeというアプリを使います。こちらもGIMP同様古いPCでの操作はつらいかもしれません。

Inkscapeを立ち上げ、ドラック&ドロップで対象の画像をGIMPのウインドウに持っていくと画像のインポート画面になりますので、「埋め込み」「ファイルから」「なし」の状態でOKを押してください。画像が取り込まれます。

インポートした画像を選択した状態で「パス」→「ビットマップのトレース」を選択します。

「多重スキャン」の「色数」を選択し、「スキャン回数」に2を設定、「背景を削除」のチェックを入れてOKを押します。

実行後トレースの画面を閉じると、元の画面に新たに画像が加わっています。重なっているのでどちらかを移動させて確認してください。白抜きになっていない方はここで不要になりますので、横の方へ移動させておいてください。

もし、ここでイメージと違うものになってしまった場合は、Inkscapeに画像を取り込む1つ前まで戻ります。画像をMSペイントで修正してここまでの手順を繰り返します。または「色数」や「スキャン回数」のトレースの項目を変えることで対応できる場合もあります。

ここではいったん戻って「根」の「きへん」部にある大きな空白を修正しました。朱の色をスポイトツールで取得し、空白になっている付近をスプレーペイントで塗りつぶしました。(ビット単位の正確性は必要ありません)

印影の切り抜きが完了したら、頭の位置と色を修正します。画像クリックをして画像を選択した後、さらにもう一度クリックすると角の矢印が曲線になります。この時にドラック&ドロップで回転ができますので、頭の位置を直します。

画像を選択した状態で下のカラーパレットをクリックすると色を変えられます。

ページサイズを印影のサイズに合わせます。写真をアップで撮った為かなり大きなサイズになっています。印影のみ切り抜いた画像は拡大縮小に強くなっていますので、ある程度のサイズまで小さくしておくと使い勝手がいいかもしれません。

画像を選択した状態で「ファイル」→「ドキュメントのプロパティ」→「ページのサイズをコンテンツに合わせて変更」→「ページのサイズを線画全体または選択オブジェクトに合わせる」でページサイズが印影と同じになります。

最後に保存します。後から編集したい場合はまずInkscapeの保存形式であるSVG形式で保存します。

SVGというファイル形式は対応するアプリが少ないので、普段使い用にPDFファイル形式でも保存しておきます。この時画面の横に移動させた元の画像を削除した後に行うのがおすすめです。

押印時のかすれを再現できたリアルに近い電子印鑑ができました。これを使えばPC上で書類に印が押せます。

既存のPDFにPDFを合成するWebツールもリンク先にてご用意していますので、よろしかったらご利用下さい。

筆者紹介


自分の写真
がーふぁ、とか、ふぃんてっく、とか世の中すっかりハイテクになってしまいました。プログラムのコーディングに触れることもある筆者ですが、自分の作業は硯と筆で文字をかいているみたいな古臭いものだと思っています。 今やこんな風にブログを書くことすらAIにとって代わられそうなほど技術は進んでいます。 生活やビジネスでPCを活用しようとするとき、そんな第一線の技術と比べてしまうとやる気が失せてしまいがちですが、おいしいお惣菜をネットで注文できる時代でも、手作りの味はすたれていません。 提示されたもの(アプリ)に自分を合わせるのでなく、自分の活動にあったアプリを作る。それがPC活用の基本なんじゃなかと思います。 そんな意見に同調していただける方向けにLinuxのDebianOSをはじめとした基本無料のアプリの使い方を紹介できたらなと考えています。

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